急成長を遂げる総合商社・曙商事。その日、ここに2人の新人がやってきた。ひとりは絵畫取引のために新設された12課に配屬された元學芸員の成島秋子。もうひとりは驚くほど巨體の警備員・富士丸。元力士である富士丸は、かつて兄弟子とその愛人を殺害しながらも精神鑑定の結果、無罪となったいわくつきの男だった。出社早々、仕事に追われる秋子だったが、わずか5名の12課の中で絵畫に精通しているのは彼女だけという有様。そのころ警備室では、古參の警備員・間宮が控室のロッカーの中に無殘に折り畳まれた同僚・白井の死體を発見。それは富士丸の仕業だった。間宮は富士丸の狂行におののきながらも、この時から精神的に支配されてしまう。さらに富士丸はビルの地下に住みつき、秋子がそこに落としたイヤリングを自分の片耳につけビル內を闊歩し始める。それを知った秋子は、人事部長の兵藤に相談するが、そうしているうちにも富士丸の狂気はエスカレートしていく一方だった。12課の久留米課長に恨みをもつ間宮は、富士丸に久留米への報復を依頼した。富士丸の狂気を利用したつもりだった間宮だったが、翌日、富士丸が何も関係のない電気工事の女作業員を殺害するに及んで、ようやく富士丸の狂気が自分の手に負えるものでないことを悟るがもう遅かった。逃げ出す間宮にやすやすと追いついた富士丸は、間宮を動力室の壁面に何度もたたきつける。そして迎えた殘業の時間。秋子と同じ課の吉岡が、廊下で間宮の死體を見つけたとき、富士丸の殺意はすでに殘業中の12課の社員全員に向けられていた。電源は落とされ、外部への通路はすべて遮斷された。脫出不能のビルの中で、富士丸は秋子たちを襲う。そして、秋子もまた富士丸の狂気に立ち向かっていき、富士丸は生命を斷つのだった。...